歯ぎしり、食いしばりから歯を守る力のコントロールとは?

こんにちは。中野区新井薬師前駅徒歩4分 中野通り沿いにある歯医者さん コンデンタルクリニック院長の今です。今回は歯ぎしり、食いしばりから歯を守る咬む力のコントロールについてお話ししたいと思います。
突然ですが、歯を失う原因に歯ぎしりや食いしばりがあることをご存じでしょうか?
歯を失う原因はむし歯や歯周病だけではありません。例えば寝ている間の歯ぎしりは、歯を削るばかりか、詰め物やかぶせ物を破壊したり、場合によっては歯の根が割れることがあります。また、食いしばってはいないけど、普段何気ない上下の歯の接触が蓄積される(TCHといいます)ことで、同じように歯や人工物や歯根の破壊を生じることがあります。歯の根の割れ方がひどいと、その歯は抜歯となってしまう可能性があります。
このように歯には食べる、発音するという役割の他にも歯ぎしりをすることにより精神的なストレスを発散しているといわれています。しかし過度の歯ぎしりや食いしばりは、歯自体をすり減らしたり、割れてしまったりして歯ぐきや歯を支えている骨に影響することにより、歯を失う原因にもなりかねないのです。
睡眠中の歯ぎしりや、日中や夜間に無意識に行っている食いしばりを総称してブラキシズムといいます。
ブラキシズムによる歯の変化としては
・歯がすり減る
歯ぎしりなどで歯どうしが激しくすり合わさることで起こります。人の体の中で最も硬いとされている歯の表層のエナメル質がすり減り、その中の象牙質が露出してさらに進むと神経が露出してしまうことがあります。
・歯がしみる(知覚過敏)
ブラキシズムのために、虫歯でもない歯がしみることがあります。
・歯が割れる
歯髄(歯の神経)が残っている歯でも割れることがありますが、神経を失った歯の場合強度が落ちるため、さらに割れる確率が高くなります。割れた場合は残念ながら抜歯をしなければならないことがあります。
・詰め物やかぶせ物が壊れる
力のかかり具合で詰めたものやかぶせたものが壊れたり、外れてしまうことがあります。
・歯周病の悪化を増進する
歯周病にかかっている歯に、ブラキシズムによる大きな力がかかると、急激に歯周病が悪化し、歯肉が腫れたり、歯を支えている骨の吸収が早くなってしまいます。
そのほかの影響としては、顎関節症、口の周りの筋肉の痛み、あごのずれ、頭痛肩こり、口の中にできる骨の隆起などがあります。
ブラキシズムがなぜ起こるかは、まだ十分に解明されていませんが、お口の中の原因としては、かみ合わせが関係していたり、全身的な原因としては日常生活のストレスともいわれています。
また、一時的に生活環境の変化などでブラキシズムが起こることもあります。ブラキシズムはとても気づきにくいもので、ブラキシズムがあるという判定も難しいものです。


マウスピースによるブラキシズムの治療は力を受ける側のコントロールになるので、マウスピースを装着していないときは、上下の歯の接触をコントロールするしかないのですが、それは自分で意識して行わなければなりません。実は一般的には上下の歯の接触は1日約18分ぐらいといわれています。上下の歯の接触癖(TCH)のある方は絶えず上下の歯を接触しているといわれています。まずは歯が接触していたら離すという反射が自然とできるようになることがブラキシズムから歯を守ることの第一歩だと思います。
あとは力の出す側のコントロールとして力を弱めるという方法もあります。
ボツリヌストキシン製剤という薬があります。ボツリヌストキシンはもともと土の中に存在するボツリヌス菌が持つ毒素のことです。この毒素には弛緩性麻痺の作用があります。この毒素を無害化して医療に応用できるようにした治療が、ボトックス治療です。

ボツリヌストキシン製剤を咬筋という咬むときの筋肉に注射すると、弛緩性麻痺の作用により、その筋肉の動きを抑制し、歯ぎしりや食いしばりを軽減できます。歯ぎしりや食いしばり、かみしめによる強大な力のコントロールに応用することにより、ブラキシズムが軽減することが期待されます。
例えば
歯のすり減りが少なくなる
歯や詰め物・かぶせ物が壊れるのを防ぐ
顎の関節に対する負担を軽減する
頭痛や肩こりが軽減する
就寝時のマウスピースの使用が必要なくなるなどです。
このように力のコントロールの治療法は受ける側と出す側のコントロールが必要であり、アプローチもいくつか方法があります。その人の病態を把握して最も有効な治療法を提供できればと思っております。


